
考え方にひと工夫!簡単で効率的な正しいダイエットとは?
ダイエットの大原則は「摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やす」ことです。しかし、摂取カロリーを減らそうとして、ダイエットによいと言われている特定の食べものばかり食べていると、栄養バランスが崩れて不健康なやせ方になります。それどころか「不健康でやせない」という最悪のパターンもあり得ます。
栄養バランスを保つためには、毎日なるべく違うものを食べることが大事です。この原則を守りつつ、なるべくダイエットによい食べものが選べるようになるコツをアドバイスします。
まず、食べものを大きく6つに分類した「基礎食品群」を思い出しましょう。かつて家庭科などで習ったことがあるはずです。
これら6つの食品群のすべてから食べものを選ぶと良いでしょう。自分には難しそう…と思われましたか?でも、1日3食、主食・主菜・副菜の献立で考えれば、だいたい以下のような配分になるので、意外とうまくいきます。まずは、この3つのお皿が食事の時に揃うようにしてみて下さいね。
こう見ると、主食・主菜・副菜という枠組みはかなり便利だと思いませんか?昔ながらの和食の献立はダイエットの参考になるので、おすすめですよ!
さて、これら6つの食品群の中には数多くの食材が含まれます。ここからは各食品群から何を選んで、何を避けるべきか、食品群ごとにポイントを解説します。
1群はタンパク質が豊富な食べものが多く、ダイエット中であってもしっかりとりたい食品群です。
食材選定のポイントは「飽和脂肪酸の少ないものを選ぶ」こと。飽和脂肪酸はバターやクリーム、バラ肉、鶏皮、挽き肉に多いので、なるべく控えましょう。赤身肉や鶏むね肉など、脂肪が少ないものを選ぶといいですね。
逆に、魚には体に良い脂質(n-3系多価不飽和脂肪酸)が多く含まれているので、ぜひ脂ののった旬の魚を選んでください。
2群はどれもおすすめしたい食べものです。ダイエットで怖いのが、知らず知らずのうちに骨の健康を損なってしまうこと。カルシウムが豊富な牛乳や小魚はぜひ積極的にとりましょう。カロリーが気になる方は、牛乳や乳製品は低脂肪のものを選ぶとよいでしょう。
また、ダイエット中は便秘になりやすいものです。ヨーグルトなどで乳酸菌をとりいれるとともに、腸内細菌のエサとなる海藻類を食べることをおすすめします。腸の環境を整えることで、便秘や下痢の予防になります。
3群もぜひ積極的にとっていただきたい食べものばかりです。ほうれん草、ニンジン、かぼちゃなど、鮮やかな色をした野菜にはビタミンAやC、鉄などの栄養素と食物繊維が豊富に含まれています。皮膚や粘膜の健康を保ってくれるので、健康的なダイエットには必須の食品です。
大根やキャベツ、白菜などの淡色野菜は、鮮やかな色は付いていませんが、ビタミンCや食物繊維などの栄養素の供給源としてとても重要です。
食物繊維は食事のかさを増し、噛みごたえがあって満腹感を得やすいのに、カロリーは非常に低くダイエット向きの栄養素といえます。血糖値の急激な上昇を抑えて、体に脂肪がつきにくくなる効果も期待できます。食物繊維の多い食べものをいかに多く選ぶかが、ダイエットの大きな一つのポイントです。そのときに4群の食べものは大きな味方になってくれます。同様の理由でキノコもおすすめです。
果物もビタミンや食物繊維が多く含まれる食べものですが、糖質も多いので、特に甘い果物はとりすぎに注意してください。果物は毎日ちょっとずつ食べるもの、と捉えておくといいでしょう。
5群に含まれる糖質は、昨今流行っている糖質制限ダイエットの影響ですっかり悪者扱いの感がありますが、すぐに使えるエネルギー源となり、日々の活動を支える大事な栄養素です。ごはんであれば食べ過ぎに注意し、お茶碗1杯(150g)を目安に、主食として毎食摂りましょう。
ポイントとしては、白米ではなく麦飯、玄米、胚芽米、雑穀を選び、白いパンよりも全粒粉やライ麦の入ったものを積極的に食べることです。これらは食物繊維が多いので、ダイエットにピッタリです。また、芋類も糖質や食物繊維のみならずビタミンを含む優秀な食材なので、ぜひ活用してください。
また、菓子類も5群に含まれていますが、精製された糖質や脂質に偏りやすいため、基本的には日々の食事には含めないようにされると良いでしょう。
ダイエットをする上で最も気を付けたいのが6群の油脂です。ただし、人間の体内で作り出せない必須脂肪酸の供給源でもあるので「完全カット」はおすすめしません。少なめを心がけつつ、とるようにしましょう。
ダイエット中は通常のサラダ油や天ぷら油に代えて、比較的体に良い脂質(不飽和脂肪酸;えごま油、アマニ油、オリーブ油、キャノーラ油、大豆油など)や、体につきにくい油(中鎖脂肪酸)などを選ぶといいでしょう。
また、バターやラードは飽和脂肪酸が多いので、なるべく避けるようにしてください。マーガリンやショートニング、ファストスプレッドにはトランス脂肪酸という特殊な形の脂肪酸が含まれており、健康にあまり良くないことが分かっています。これらは加工食品でよく使われているのでとりすぎには注意してください。
ここまで、6つの基礎食品群ごとに、おすすめの食べものと避けたい食べものを紹介してきました。
ダイエットはとかく「つらさ」が強調されがちですが、色々なものをまんべんなく食べるという意味では、以前の食生活より豊かなものになる人が多いはずです。つまり、食べるのが好きな人はダイエットも楽しめるはずです。ぜひこの記事を参考にしつつ、世の中にある様々な美味しい食べものをヘルシーな観点から再発見してください。
井上 正子(監修). 新しい栄養学と食のきほん事典. 西東社 2010